前回の記事「マーケティングミックスにおける基礎知識と考え方4P編」に引き続き、マーケティング戦略実行にあたり、合わせて理解しておくべき7Pについて解説してきます。
ここでは主に提供しているプロダクトが有形の商品ではなく「無形のサービス」の方が該当しますので、無形サービスを提供しているマーケティング初心者の方の参考になれば幸いです。
マーケティングミックス7Pとは
マーケティングミックスの7Pとは、アメリカの経済学者ジェローム・マッカーシーが提唱した4Pである製品戦略(Product)、価格戦略(Price)、流通戦略(Place)、プロモーション戦略(Promotion)に加え、物理的証拠(Phythical evidence)、サービスプロセス(Process)、人(People)を加えたマーケティングミックスのフレームワークです。
考え方は4Pに加え、3つのPである物理的証拠(Phythical evidence)、サービスプロセス(Process)、人(People)を加える形となります。
7Pの必要性と4Pのデメリット
4Pの観点で分析することも不可能ではありませんが、有形のモノ(商品)であればイメージが付きやすいものの、無形サービスの場合、どうしても以下のようなデメリットが生じてきます。
- 無形性・非有形性
- 同時性・不可分性
- 非均等性・変動性
- 消滅性・非貯蔵性
モノと比べてサービスは形がないため、消費者が購入する前にイメージが付きにくいといった形の観点でデメリットが生じます。
また、サービスは生産と同時に消費が起こるため、やり直しがきかない場合もあります。
その他、サービスを提供する人のスキルや提供するタイミングによって質が均等に保てませんし貯蓄するするこができないため、モノのようにストックもできません。
有形である「モノ」と無形である「サービス」では異なる点があり、同等でマーケティング戦略を考える場合により難しくなってしまいます。
商品である場合は4Pの観点から分析することでもマーケティング戦略を導き出すことができますが、無形のサービスの場合には難点が多いため、合計7つの観点から分析し、マーケティング戦略を練っていきます。
これがサービスマーケティングによる7Pです。
4Pに関しては冒頭でもお伝えしたように、すでに別記事にて解説しているので、追加した3つのPについてそれぞれ解説していきます。
物理的環境(Phythical evidence)
1つめのPである物理的環境(Phythical evidence)とは、サービスを提供するまでの一連のプロセスを指します。
例えば、実店舗でサービスを提供しているのであれば、外装や内装、従業員の制服、テーブルや椅子のデザイン、配置の仕方、など空間も該当します。
それぞれだけでなく、一貫性や統一性を持たせ、ブランドイメージの向上の効果を持たせるのも良いでしょう。
また、ブランド体験の結果もこの要素に含みます。
ディズニーであれば、ディズニーランドやディズニーシーそのもの、館内の空間全体や内側から外が見えないような作りで非日常を体験させる仕組みもそうです。
モノとことなりサービスは目に見えないため、付随する目に見えるものでサービスの価値を引きあげるように努めます。
サービスプロセス(Process)
2つめのPであるサービスプロセスとは、サービスを提供するまでの過程を指します。
サービス提供までの過程といえば、まず先に思いつくのが効率化です。
サービスを受ける消費者にいかに効率良く提供できる環境を作るかなどです。
サービス提供者である自社のスタッフの仕事効率(提供スピード)もこれにあたります。
また、サービス提供時の体験もサービスプロセスに含みます。
効率化を図ってもある程度時間を要する場合には、サービスを受ける間の待ち時間に感じるストレスを軽減する環境を提供することも大切です。
人(People)
マーケティングミックスの7Pにおける人(People)とはサービスを提供する全スタッフを指します。
たとえ懸命にブランディング戦略を行い、ブランドイメージの向上を図っているとしても、サービスを提供している人によりブランドイメージは影響されます。
数多くいるスタッフなのかもしれせんが、消費者側から見ればブランドの人です。
特に接客を要するサービスであれば、適切な判断力含め総合的な接客力が必要となります。
提供時のサービスの付加価値としてはもちろん、ブランドとしての企業内ルールや定期的な研修などを取り入れ、そのブランドに相応しい立ち振る舞いや雰囲気、イメージの統一も大切です。
マーケティングミックスのポイントと注意点
最後にこのマーケティングにおいてのポイントをいくつか押さえていただきたいと思っています。
①そのマーケティングミックスにはブランディング戦略との一貫性があるか?
基礎戦略の1つであるブランディングと、行っているマーケティングミックスに一貫性を持たせているか。
一貫性がなければ消費者は違和感を覚えるだけでなく、不安感や不信感とブランドイメージを損なう恐れがります。
特に、ブランディングを練る際に掲げているはずのブランドアイデンティティーにそぐわないようなマーケティングミックスとなっていないか注意が必要です。
②そのマーケティングミックスにはSTP戦略と一貫性があるか?
同じく基礎戦略であるSTP戦略を練った際に定めているはずの、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングと分析後に行うマーケティングミックスとの一貫性があるか。
基礎戦略を立てる者と、実際のマーケティング戦略を実行する者が異なる場合に起こりうる問題です。
マーケティングに関わる人数が多いほど、あれほど情熱を注いだ戦略決定時の熱量も、下に行くにつれて薄れてしまう場合もあります。
また、データとして提示しても、人によって受け取り方が異なる場合もあり、あなたが抱いているものといざ行ってることにズレが生じることも決してないとは言い切れません。
③それぞれマーケティングを組み合わせることで相乗効果があるか?
モノマーケティングでは4Pの観点を、サービスマーケティングでは7Pの観点をと決めつけるのではなく、あなたの商品、サービスに必要であれば取り入れることが大切です。
マーケティングミックス、つまりいくつものマーケティングをミックスさせるのですから・・・
もちろん、マーケティングミックスの役割は、ただいくつものマーケティング戦略を組み合わせるのではなく、複数の観点から創出させるマーケティング戦略の組み合わせによる相乗効果です。
組み合わせて、逆効果になっていないか、うまく機能しておらず足を引っ張る形になっていないか、細部にまで目を見張りましょう。