これはあるクライアントさんが自宅サロンから始めて、のちにテナントサロン複数店舗を出すまでになった事例です。
今後自宅やマンションの一室といった小さなサロンで開業しようとお考えの方の参考になれば幸いです。(自宅サロンでなくても該当する内容です)
またすでに開業しているがなかなか軌道に乗らないとお困りの方も改善のヒントとしてご覧ください。
自宅サロンを開業する前に伝えたいこと
まず、以下に当てはまる方は注意が必要です。
- 私は過去にトップセラピストだった
- たくさんのお客様を施術してきた
- 施術スキルにはかなり自信がある
- 最初は以前のサロンからの顧客に来店してもらうからオープンから大丈夫 など
自信を持つことは素晴らしいことですが、サービススキルと以前の顧客を利用してサロンをオープンしようと考えているのであれば、先に一言お伝えしておきます。
「そんな考えならやめておけ・・・・・」
私たちは夢や希望の邪魔をしたいのではなく、そんな生半可な考えでは必ずオープンしてから苦戦を強いられ、資金を圧迫し、下手をすれば即閉業せざるを得ない状況に陥ることが目に見えているからです。
何故か?世の中には同じような商品やサービスが溢れかえっており、いち消費者目線で見渡せばどれも同じように見えてしまいます。
しっかりと分析し、基礎戦略を立て、マーケティング戦略、各戦術へと落とし込み、更に常に改善を繰り返していかなければならない。
どのビジネスでも言えることですが、良い商品やサービスというだけではそう簡単に売れない時代だからです。
しかし、自信に満ち溢れたあなたの夢、希望、やる気に対して何とかしてあげたいと思うマーケティングジム。
現在では、複数のサロンを経営しているクライアント様ですが、相談当初実は同じ状況でした。
悪気があって言ったわけではないですが、当時この方にムッとされたことを今でもお互い覚えており、今では笑い話の1つとなっています。
これから紹介するこのマッサージサロンの事例を何度でも繰り返し読んで、あなたが開業するまで、開業してからやるべきことをしっかりと頭に叩き込んでください。
なお、本記事ではサロンを開業するにあたり、各種手続きや資金調達、経費などマーケティング以外のことに関しては記載しておりませんのでご了承ください。
①サロンを取り巻く環境を分析
分析というと、大手がやることと思っている方、面倒だからと後回しにする方が意外と多いのですが、「分析=知ること」はあなたのビジネスが何であれ非常に重要なことです。
重要にも関わらず、知っておくべきことを知らないまま事業を立ち上げる、、、、私たちマーケティングジムはもちろん、経営やマーケティングに携わっている人からすれば、非常に恐ろしく感じます。
サロンのジャンルな何であれ、サロン業界より外側で現在どんな環境がサロンに影響するかを分析します。
これまで分析を行ったことがない方には何のことかわからないと思いますが、比較的スムーズに外部環境を分析するためのフレームワークがありますので、ご利用ください。
>>PEST分析とは?初心者でも行うべき外部環境を理解するための分析
②競合他社の選定と分析
サロンを開業するにあたり、自分のサロンにとって競合となるサロンを複数社選定します。
- 同じ商圏にある同ジャンルサロン
- 同じ商圏にある異なるジャンルのサロン
- 同じ規模のサロン
- 直近、近い未来目標となるサロン
など、サロンを開業した際に同じ属性の見込み客を取り合うようなサロンを選びます。
開業前は特に自社サロンの近隣エリアで(距離関係で)競合しそうなサロンには常に目を見張ることが大切です。
顧客を奪うこともできれば奪われることもあるので・・・。
市場(顧客)、競合、自社の3つの観点から同じサロン業界内での変化を分析しておきます。
>>3C分析と分析方法・手順|行うべき業界内の事実を知るための分析
特に、競合となる他社がどんなことをやっているかは把握しておくべきです。
- ニーズ(競合がどのニーズを狙っているか)
- 提供価値(競合が提供している価値は何か)
- STP戦略(競合のセグメント、ターゲット、ポジションは何か)
- 4P戦略(競合が行っている戦略は何か)
- リソース(競合の戦略のリソースは何か)
また、VRIO分析、ファイブフォース分析、SWOT分析(クロスSWOTの方が◎)も行い、競争優位性性を図ったり、自社サロンへ与える影響や強み、弱みを理解してうえで、これから開業する自宅サロンという小さな城でどう戦うかを決めてきます。
これまでに挙げた各分析のフレームワークは別記事にて解説していますので、リンク先よりご参考下さい。
>>ファイブフォース分析とは| 自社収益の課題と戦略を立てるための分析
>>SWOT分析とクロスSWOT分析とは?分析手順と基礎戦略までの流れ
③分析結果を踏まえてどのような自宅サロンにすべきかを決める
業界内の市場ごとにグループ分けをする(セグメンテーション)
分けた市場グループのうち、どこをターゲットにするかを決める(ターゲティング)
どの立ち位置でこれから攻めるのかを決める(ポジショニング)
いわゆる基礎戦略の設定を行います。
最初なのでなかなか定まらない方が多い中、念願の自分のサロンの成功のためにも、このクライアント様は注力していたことを思い出します。
自宅サロンや小規模のサロンを開業した方で、営業を重ねるごとに他のサロンと差が出るのが、これまでに挙げた分析と基礎戦略の部分です。
実際にマーケティングジムにお問い合わせや相談される方の多くもこの状態です。
結局途中で悩むのであれば、開業時に一度しっかり組み立てて、その後立ちはだかる問題を解決していった方が、効率的です。
④ビジョン・コンセプトを作る
ビジョン=サロンやサロンのサービスを通じて何をしたいのか、何を与えるようなサロンでありたいかという価値観を具現化したもの(WHY)=サロンの目的地
コンセプト=掲げたビジョンに対しどう実現するのか(HOW)
※ビジョン、コンセプトの作り方に関しては別記事にて解説します。
⑤ブランディングとネーミング
ブランド=〇〇サロンと言えばや□□と言えば〇〇サロン=イメージ戦略
開業初期は知名度も低く、名前すら覚えてもらえていない状態です。
少しでもサロンの名前、イメージ、信頼性を浸透させるためにも、開業前に掲げておきます。
また、今後のマーケティングに活かすために欠かせないことです。
また、これよりも前にサロンの名前を決めている場合も多いですが、この段階で最終的に決めます。
当然のことですが、「あなたのサロン=〇〇なサロン=サロン名」となりますので心得てください。
サロンの名前を付ける際、つい「オシャレ」な名前を付けたがる方も多いのですが、お客様が覚えやすいか、検索しやすいかなどもきちんと考慮したうえで決めていくことが大切です。
現代ではスマホ片手に大半の情報は手に入ります。
オシャレな屋号が悪いとは言いませんが、何の店かわからない、読めなくて検索し辛いなど後々お客様にとって不便な事は、あなたにとっても不利な状況を作ってしまいますので、ご注意を。
すでにオシャレで読みにくい名前を付けてしまった方の対処法としては、「キャッチコピー」を付けてみてください。
マーケティングジムのクライアント様の中でも数社この様なケースがありましたが、キャッチコピーを付けた後、初めて来られる方やリピーターの方から、「初めて見た時何屋さんかわからなかったけど、途中からわかったので来店してみた」という声も上がってきました。
⑥USP作り
このクライアントのサロンのジャンルは「リンパマッサージ」。リンパマッサージと言えども正直そこらへんにたくさんあるのが現状でライバル店はたくさん。
そこで、他のサロンと差別化するためにUSP(独自のウリ)を作ります。
このコンセプト作りがかなり重要で、後の集客や売上にもかなり関わってきますので入念にしていきましょう。
先に1つ。ここでこのクライアントさんのUSPはライバル店やあなたにも知られたくないとのことですので伏せさせていただきます。
代わりに、僕が普段クライアントさんにコンサルティングをする際にも行っていることをあなたの為にシェアしていきます。
USP(独自のウリ)の重要性
あなたがまだ開業する前や駆け出しの状態、または売上不振でお困りであれば、ぜひこの機会にUSP(独自のウリ)を作っていくことから始める事を強くオススメします。
USPとはUnique Selling Propositionの略語で、ユニーク・セリング・プロポジションと読み、訳すと「独自のウリ」を指します。
U・・・ユニーク→独自→特徴
S・・・セリング→売り→強み
P・・・プロポジション→提案→メリット
明確なUSPを持っているか持っていないかで、「自社サロンがお客さんに選ばれるのか?」それとも、「他社の商品やサービスを選ばれてしまうのか?」が大きく変わってきます。
自社のUSPを知らないことは、ビジネスをやる上で致命的な影響をもたらしてしまいます。自分の商品やサービス、強みがわからなければお客さんに何をアピールするのでしょう?
そんな状態で、お客様の心を動かすような広告や販促を行えるでしょうか?難しいですよね・・・
だからこそあなたの「独自の強み」を徹底的に表現し、お客さんを食いつかせ、価値が得られると感じさせる強力なUSPを作り上げ、どれだけあなたの商品やサービスがお客さんを満足させられるのかという自信をしっかり打ち出していきましょう。
⑦サロンの環境を整える
営業するにあたってのサロンの環境を整えます。
外装や内装・看板
このクライアント様は自宅の1室をサロンとして開放するため、外装や内装に手を加えません。
入口から施術場所までの通路の見え方やシャワー等の使用、着替えなど実際にお客様がより心地よく利用できるような環境を作っていきます。
また、自宅サロンだからこそ、看板がないとわかりにくい状態です。ブランディングの設定の際に決めたイメージを表現したものにしましょう。
※ロゴに使用するフォントも必ず固定して下さい。ロゴを表す度にフォントが異なることで、ブランドイメージが定着しにくくなります。
営業時間を設定する
いつ営業するのかを決めます。
ここでも、多くのセラピストさんが「全てのチャンスを逃したくないから」となかなか営業日時を決められずにいます。
でも、営業日時を決めるメリットよりも営業日時を決めないデメリットの方が多いとは知らない方が多いようです。
営業時間を決めない事でお客様にかえってデメリットを与えてしまいますのできちんと設定しましょう。
後は営業を開始して、状況に応じて変更することも可能です。(ころころ変えるのはNG)
メニューの作成
次にメニューを作成していきます。
コンセプトに沿ってメインのメニューをどうするか、価格をいくらにするかなどを考えていきます。
同時に新規客の特典の有無、リピートしてもらう為のメニューの有無なども合せて組み立てていきます。
また、使用する商材や備品などの仕入れ先等も合せて決めておきましょう。
先回りして、これからあたる壁としては「単価が上がらない」という悩みが出てきます。これは、単品メニューの単価を低く設定し過ぎて、後々困るパターンです。
対処法として先にアドバイスするとしたら、単品で売るのではなく「セットメニュー」での展開をお勧めします。
美容系サロン、美容院もこの手法でほとんどが解決しますので、検討してください。
開業当初はテストの連続です。初めに決めたメニューをずっと提供し続けるのではなく、営業しながら検証しアップデートしていきます。
集客方法の選定
集客する為のツールを選んでいきます。
ここでも100%決定するのではなく、まずは選定しテストを試み、検証していきます。
使用するSNSは何か、ブログを使うかなどどのようにして見込み客にアプローチするかを決めていきます。
現在様々な方法が存在しますが、たくさんやれば良いというものではありません。
たくさんやることであなたの作業も増え、各ツールが疎かになるのではかえって意味を成しません。
分析結果をもとに、ターゲットがよく利用するであろう媒体をメイン媒体とします。
特にサロン系の店はホームページ、Googleビジネスプロフィール、Instagram(Facebookページ連携)は必須です。
リピート対策にはLINE公式アカウントが効果的ですので、必ず登録しておきましょう。
近隣の同業他社のアカウントはサブアカウントで構いませんので、フォローし、どんな投稿をしているかなどを研究します。
売上規模が上の他社をメインに研究することは必須です。
近隣でもあなたの店と変わらない、もしくは売上が下回る店舗は、こうならないように参考する程度におさめておきましょう。
⑧プレオープンする
いきなりオープンするのではなく、まずはご家族やお友達などに協力してもらい、実際の流れを把握していきます。
この際に変更した方が良い点などが表面化していきますのでより良い営業が出来るようテストしていきましょう。
また、協力者にレビューをもらうことも大切です。実際に施術を受けた方が感じる事もしっかり吸い上げ改善していきます。
⑨グランドオープンする
では待ちに待った念願のオープンを果たしましょう。逸る気持ちや緊張もあると思いますが、ここからは実際にお客様が来店します。プロ意識をもって挑みましょう。
そしてこのタイミングで最初の壁にぶち当たります。あなたが思っているほどお客様は・・・・来ませんので前もって構えておいてください。
オープン時間からクローズするまでの一日の流れと、行うべき業務のサイクルを作っていきます。ブログやSNSをアップするタイミングも検証する事をお忘れなく。
オープンしたら毎日しておきたい業務
また、毎日行っていただきたい業務として「営業日誌」をつけることをおすすめします。
その日一日がどのような流れだったか、改善すべき点はどこか、良かった点は何かなどを実際感じるだけで終わらず、書き出してアプトプットすることであなたの脳に意識と定着していきます。この積み重ねでデータを集めることで些細な変化にも敏感になるのでオススメです。
オープンしたらあわせてやっておきたい施策
まず大してお客様が来店しない、または少しだけ来店しただけで凹むと思いますが、わずかなお客様が来店した際にやっておきたい施策として「無料モニターの選定」をこの段階から頭に入れ、状況に応じて実行しましょう。
わずかな売上でもと思う気持ちは充分にわかりますが、早い段階で行う事がより効果的です。
⑩ある程度お客様が来店するようになったら
正しくは、お客さま第一号から実践していきます。
顧客リストとアンケートを回収する
顧客リストは単にお客さんを覚えるだけでなく今後のマーケティングを行う際に必要不可欠なものです。
それと同時にアンケートを実施し、感想や悩み等をしっかり理解していきます。
リスト、アンケートの有無で今後の売上が大きく変わってきますので必ず回収しましょう。
リピート施策を実行する
やっとお客様が来店し始めたことで少し安心してしまいがちですが、ここからが第2のスタートです。
何もしなければ新規客は簡単に定着しません。
サロンから出たら、近隣に多く存在する同業他社の元に投げ出すのと変わりませんし、リピートしなければ売上は必ずと言ってよい程上がっていきません。
オープンする前の「メニューの選定」の際に考えたリピートメニューと先程挙げた顧客リスト、アンケートを用いてリピートしてもらう仕組みを形にし、リピート施策の実行していきます。
>>初回クーポン利用だけの単発客からリピート客へ育てる仕組み
>>サロンの新規客が2回目来店しない原因はこれ!あなたのサロンに足りない4つのもの
より短期間で実績を上げる為のマインドセット(心構え)
これは自宅サロンだけでなく全てに当てはまることですが、「トライ&エラー」を繰り返し行い検証する事を常に頭に入れてください。
より詳しくはPDCAと呼ばれるサイクルです。常にP=PLAN(計画を練り)、D=DO(実行する)、C=CHECK(検証する)、A=ACTION(実行する)で、よりあなたの行うことをアップデートしていきます。
これを繰り返すことで「やりっぱなし」を無くし、日々向上してあなたのサロンが成功に導くように。。。
P.Sこの記事のURLは保存し、こまめに照らし合わせていきましょう。
P.P.Sこのサロンのその後は、いくつかの記事に分けて可能な限り紹介しようと思います。