マーケティング

USPとは?他社と差別化した独自売りの作り方と事例

どのビジネスジャンルでも、周りには競合他社がひしめき合う状態です。

見渡せばすぐ近くに競合他社の存在が邪魔をするような環境において、いかにあなたの商品(サービスや製品)をターゲットとする客に絶えず選ばれるよう努力をしなければいけません。

競合他社に打ち勝ちつためには「差別化」が必要となります。

今回はその差別化には欠かせない「USP」について解説していきます。

USPとは?

USPとはUnique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)の略称で1940年代初めに、アメリカのTV広告会社テッド・ベイツ&カンパニーのロッサー・リーヴス(Rosser・Reeves)氏が提唱したその商品(サービスや製品)にしかない独自性のある強みや魅力、競合他社には真似できないようなメリットを顧客へ提供することを表した言葉です。

  • Unique(ユニーク)・・・独自の→特徴
  • Selling(セリング)・・・売り→強み
  • Proposition(プロポジション)・・・提案→メリット

上記3つの観点から生み出す価値を言語化したものである=顧客に対して自社だけが与えることができる価値=USPとなります。

USPの定義

1961年には、ロッサー・リーヴスの著書「Reality in Advertising」にてUSPを以下と定義しています。

  1. 広告はすべて、消費者に対して提案(プロポジション)をしなければならない。単なる言葉や、単なる製品礼賛、単なるショーウィンドウ的広告ではなく、読む者にこう言わなくてはならない。「この製品を買えば、この便益が手にはいります」と。
  2.  その提案は、競争相手が示せない。もしくは示さないものでなければならいない。それは独自でなければならない。すなわち、そのブランド独自(ユニーク)のものであるか、その分野の広告ではなされていない主張であること。
  3.  その提案は、数百万の人々を動かせるほど強力でなければならない。すなわち、製品に新規顧客を引き寄せられるものでなければならない。

2012年に発売された「USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則」で翻訳されていますので、ぜひ読んでみて下さい。

(画像 出典 Amazonより)

USPとコンセプト・キャッチコピーの違い

USPと混同しがちな言葉にコンセプトがあります。USPとコンセプトの大きな違いは「視点」です。

  • USP:顧客視点 顧客から見た他社にはない自社の独自性ある価値
  • コンセプト:自社視点 自社が打ち出したい統一的な考えや概念、主軸となるもの

もうひとつUSPと混同しがちな言葉にキャッチコピーがあります。

わかりやすいように有名な例でUSPとキャッチコピーの違いを理解しましょう。

USPキャッチコピー
  • ダイソン:”吸引力が変わらない、ただ一つの掃除機”
  • ドミノピザ:”ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。

もし30分以上かかったら、ピザの料金は頂きません。”

  • キューピー:”愛は食卓にある”
  • マクドナルド:”I’m lovin’it”
  • ロッテ:”お口の恋人”

上記表のように、USPと異なり、キャッチコピーは消費者の興味を惹くものの、具体的なメリットを表していません。

一方、例に挙げたUSPは、ダイソンの場合、吸引力がずっと変わらない状態で掃除機を使うことができるというメリットを表しています。

また、ドミノピザのUSPは、美味しい状態でのピザをスピーディに届け、もし時間内に達成できなかった場合の補償というメリットを表しています。

kamishin
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当時、アメリカでは、デリバリーピザの配達には時間がかかり、店によっては冷凍のものを解凍して届けるという他社が多くいた中、それらから圧倒的な差別化を図るため、このUSPが生まれたと言われています。

USPを作るために押えるべきポイント

ではUSPを作るにはどうしたらよのでしょうか。

USPを作る際に押さえるべきポイントを理解しておきましょう。

①ターゲットは絞って特定する

USPに限らず言えることですが、曖昧、不明確なターゲットは結果的にも何も響かないUSPが出来上がってしまいます。

みんなに気に入ってもらおうとすることで「これしかない」と思ってもらえる特徴が何もなくなってしまいます。

あなたのUSPを届ける相手である「ターゲット」を絞り、彼らに刺さるようなメッセージにすることが大切です。

②競合他社と差別化できる独自性のあるものにする

ターゲットが自社と他社の商品を比較した際に、どんな点が自社の商品を選ぶ理由になるかを考えることが必要です。

また、実際に現在の顧客がどんな理由で自社の商品を選んでいるかを把握することでもUSPを作るヒントが生まれます。

その他、競合他社の強みや弱み、自社の強みや弱み、を理解することも大切です。

③一貫性のあるメッセージにする

媒体によってアピールしている内容が異なることで、結果どれがあなたやその商品の良さなのか理解できなくなります。

ターゲット、顧客が目にするメディア(媒体)すべてに提示し、認識やイメージ付けをしましょう。

④覚えやすく、できるだけ短くまとめる

長々と語るようなUSPはターゲットや顧客に伝わりにくく、メディアでの提示も容易ではなくなります。

USPを作る際にまずは情報を収集し、コンパクトにまとめることが大切です。

また、掲げるものはUSPに、その補足をホームぺージ内に提示するのも良いですね。

⑤定期的に見直し状況に応じてUSPは変えてもよい

USPとして掲げる場合、あなたや自社が実行可能なものにすることが必須です。

環境の変化や競合他社の影響で、USPを実行できなくなる時期が訪れる場合があります。

また、ユーザーのニーズに変化がある場合もあるでしょう。

必要に応じてUSPを変えることも必要です。

USP作りに利用したいフレームワーク

USPは様々な観点からアイディアを生み出していかなければいけませんが、簡単には作れないものです。

マーケティングでよく使ういくつかのフレームワークを利用して、効率よく分析し、情報収集しましょう。

USP作りには以下のフレームワークが便利です。

  • 4P分析(自社の商品の魅力を深堀りするため)
  • 4C分析(顧客視点での商品の価値やメリットを深堀りするため)
  • SWOT分析(自社、他社の強みと弱みを理解するため)

 

USPを効率的に作るための差別化7つの観点

USPを効率的に作るために以下10の観点から他社と差別化できる点を考えた後、USPに落とし込むのも1つの手段です。

もちろん、下記以外でも様々な観点からUSPを作ることができますが、アイディアの素として参考にしてください。

また、それぞれではなく、複数の観点で要素を掛け合わせることで、より差別化できる場合もあります。

①エリア

世界で、日本でとなると規模が大きくなりますが、それが県や市、エリアでと範囲を狭めて何か1番になれることはないでしょうか。

  • 地域一番
  • 〇〇市内で最も・・・など

②専門性や特化

現在では、どのエリアでも同じような商品(サービス、製品)を提供している競合他社が多く存在します。

しかし、エリアで他社が行っていない、または、可能であってもそれを強く打ち出していない場合もよくあります。

  • 男性、女性専門
  • ユーザーと同性(異性であるで購入しにくいことはないか)
  • ある製品やサービスに特化 など

③スペック・素材

商品のスペック面で、他社より優れている点はないか。

ただし、機能や性能を推すのではなく、そのスペックがもたらす顧客へのメリット、更にベネフィットにまで落とし込んで打ち出す方が好ましい。

また、使用している素材に観点を置くのも良いでしょう。

④商品数

圧倒的な品数、品揃えの観点で他社と差をつけることができないかを探します。

ある商品だけに特化して、豊富な品揃えにすることも可能です。

⑤実績数

契約件数や導入件数、利用者数など具体的に数値化することで、何か際立たせることができないか探します。

数字として表すことで、よりわかりやすくターゲットに伝えることもできます。

⑥立地

あなたが商品を提供できる場所(立地)の観点で優位に立てないかを探します。

  • 徒歩〇分
  • そのエリアにここだけ
  • こんな場所で

切り口のアイディア次第で様々な立地による優位が見つかる可能性もあります。

⑦サービス

ここでは無形の商品というプラスアルフ意味ではなく、商品に̟プラスα何かを付け足すことを指しています。

  • 保証
  • アフターケア(継続的、定期的)
  • パッケージ化やセット
  • 〇〇放題 など

【初心者向け】USPの考え方・作り方

あなた(自社)にとってのUSPとは何か。

まずは分析して理解し、その中で顧客にとって他社が真似できない自社が提供できる価値は何かを考えていくのですが、初心者の方にとっては結構ハードルが高く感じるのではないでしょうか。

しかし、「難しそうだから後回しにしよう」「こういったことは私には関係ない、大きな企業がやるものだ」と考え、行動しないのは非常にもったいないです。

そればかりか、USPとまでいかなくとも、うまく顧客に価値を提供できる競合他社に後れをとってしまいます。

そうならないためにも、あなたに少しでもUSPを作る機会を与えるべく、7つの質問を用意しました。

以下の質問に沿ってあなた(自社)のUSP作りに役立てて頂けたら幸いです。

  1. あなたが(もしくはあなたの製品やサービスが)、ターゲットとしている市場について、詳しく述べてください。
  2. その中で、あなたのお客さんとなる人の悩みを100個書き出してください。
  3. 書き出したお客さんの悩みであなたが解決できるものは何ですか?
  4. ライバルが解決できていないが、あなたは解決できるものを書き出してください
  5. 自社と他社を比べた時に、違うと感じる部分は何ですか?
  6. これまでの経験の中であなたや自社が提供できる価値のいくつかには何がありますか?
  7. なぜ、他社ではなく、あなたの商品やサービスを選んだのか?お客さんに質問した事はありませんか?

もちろんもっと細かく分析することでより明確に理解できますが、これまで数多くの後回しを生み出した結果、売上や集客の方法、リピート施策に悪戦苦闘するあなたには比較的取り入れやすいのではないでしょうか?

kamishin
kamishin
質問に対して答えを出す際、「不明点を調べる=結果的に分析する」ような質問にしています。

 USPを作ることであなたに様々なメリットをもたらす

競合他社が多くいる状態で、USPを作り、打ち出すことであなたに大きなメリットをもたらしてくれます。

  • ブランドのイメージアップ
  • 販売の促進
  • 明確な競争優位性
  • 商品の開発やマーケティングの指針 など

ターゲットに何か強いメッセージを掲げることで、自社のブランドとしての認知、自社商品を選んでくれる確率が上がることに繋がります。

また、競合他社に対して競争優位な状態になる他、これからの商品開発やマーケティング指針の役に立つでしょう。

 

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