今後のマーケティング戦略に役立てることができる数々の分析。
分析と言うとどうしても大きな企業が行うものと捉えてしまう方も多いようです。
しかし実際のところ企業の大小問わず、分析は必ず行なっておくべきです。
分析を行わないことで、内部、外部の要因に気づくことができず、労力を費やして行なっているマーケティング戦略が効果を発揮しない場合が多くあります。
1日という限られた時間の中で、マーケティングに費やす時間、人件費が無駄とならないよう、そして分析後に行うマーケティング戦略でより多くのお客様にあなたのサービスの魅力を伝えるとともに、多くの利益をもたらすためにも積極的に分析することをおすすめします。
さて今回は、4P分析や3C分析などと一緒によく使われるフレームワークであるファイブフォース分析について分かりやすく解説していきます。
ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析とは自社企業を取り巻く5つの競争要因を理解し、業界内の収益構造を明らかにするための分析です。
私たちは、経営を行っている以上常に様々な脅威に晒されています。
ファイブフォース分析のフレームワークを用いて実際にどんな脅威にさらされているかを理解し、その脅威に対して自社企業がどんな対策を行うべきかを検討することがこの分析の目的です。
- 自社の課題や解決策の抽出
- 新規参入すべき業界の判断
- 事業縮小、撤退の判断
- 予算配分の検討など
ファイブフォース分析結果をもとに、今後の自社のマーケティング戦略に役立て、収益をもたらす仕組みへと変えることを目指します。
ファイブフォース分析における5つの競争要因(脅威)以下が挙げられます。
業界外部からの要因、業界内部からの要因といった2つの要因から自社にとってどんな脅威に晒されるのか、今後晒される可能性があるのかを理解していきましょう。
- 既存競合他社との敵対
- 新規参入企業の脅威
- 代替品の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
この5つの競争要因(脅威)が業界内の企業の競争を生んでいる要因です。
それではこれらの脅威にはどういったものがあるか具体的に理解するとともに、分析時のチェックポイント確認していきましょう。
既存競合他社との敵対
私たち事業を営む者にとって競合他社が1社もないということはほぼありません。
サービス内容によっては近隣のエリア内にいる場合もあれば、日本全国に競合他社がひしめき合っている場合もあるでしょう。
この既存競合他社との敵対も脅威の1つです。
敵対関係が激しい業界
特に以下の業界はより脅威に晒されるでしょう。
- 差別化が難しく同業者か多く存在している業界
- 生産コストや維持コスト、サービスに関わる人権コストが高い業界
- 企業それぞれの成長スピードが遅い業界
既存競合他社の分析チェックポイント
- 競合他社数
- 競合他社のブランド力
- 業界全体の成長性
- 競合他社の資金力
- 商圏の重なり
などが挙げられます。
新規参入企業の脅威
数ある業界の中でも、新規参入のハードが低い業界は特に脅威に晒される可能性が高くあります。
新規参入企業が多ければ多いほど、これまでの自社のシェアが奪われる可能性も高くなるため、常に新規参入企業はどんな企業なのか分析する必要があります。
新規参入企業の分析チェックポイント
- 自社へ悪影響を及ぼす事項は何か
- その新規参入企業のブランド力や知名度は高いか
- 自社や既存競合他社と比較し、異なる戦略は何か
- 新規参入企業のビジネスモデルと自社ビジネスモデルとの相違点
- 新規参入企業の技術レベルやサービスレベル
- 市場内の経済規模
などを分析していきます。
代替品の脅威
代替品とは自社の製品やサービスにとって変わる新しいものを指しています。
自社の製品やサービスと同じ、もしくは低価格かつ高品質な代替品が現れた場合、自社にもたらす脅威が大きくなります。
また、代替品の脅威は必ずしも同業他社とは限りません。
代替品の脅威の分析チェックポイント
- 代替品の価格
- 代替品の特徴と自社との違い
- 代替品へのスイッチングコスト(乗り換え時に発生する費用)
などを分析していきましょう。
売り手の交渉力
ここでいう売り手とは、自社の製品やサービスを提供する際に必要な原材料などを供給する業者を指します。
例えば、飲食店での食材やお酒の卸業者、仕入先、サロンでの機材や消耗品を提供するメーカー、アパレルショップでの取引するブランドやインポーターなどが挙げられます。
供給業者が大きな交渉力を持ってしまうと、不利な条件になる脅威に晒されてしまいます。
売り手の交渉力の分析ポイント
- 供給企業の増減の変化
- 供給企業とのパワーバランスが適切であるか
- 供給企業のスイッチングコストはどれくらいか
- 市場の経済規模の変化
などを分析していきましょう。
買い手の交渉力
ここでいう買い手とは自社の製品やサービスを購入してくれる人を指します。
つまり直接購入してくれる消費者や、あなたの代わりに販売してくれる卸取引先などが該当します。
買い手の交渉力が大きくなると自社が望んでいる販売価格や卸価格より安く売る場合が増え、利益が減少する脅威に晒されます。
買い手の交渉力の分析チェックポイント
- 適切な価格設定であるか
- 卸先の販売業者数の増減や状況の変化
- 値下げする場合の価格は適切、明確であるか
- 双方のパワーバランスは適切に保たれているか
- 市場の経済規模とその変化
などを分析していきましょう。
このように5つの競争要因から自社企業を取り巻く脅威が何であるかを明確にしていく分析がファイブフォース分析です。
ファイブフォース分析を行うことでの効果やメリット
ファイブフォース分析を行うことで自社の課題や強みを再認識することができます。
また、5つの競争要因による収益減少の対策を立てるきっかけができるだけでなく、対策することで競合優位に立つことができます。
分析を行わないことで、気づかないところで徐々に自社の収益減少に繋がっていたり、競合他社が先に対策することで、自社企業が競争劣位となりうる可能性も高くなります。
分析することで自社企業がどんな脅威にさらされているか、そして常にピンチになっている、今後ピンチになる状態を把握することができます。
状況を把握し、対策を実行することでピンチからチャンスに変えるきっかけにもなりますので、この記事を気に是非ファイブフォース分析を行うことを強くおすすめします。
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