自社のマーケティングや広報担当者であれば、ニュースレターという言葉は聞いたことがあるでしょう。
しかしニュースレター本来の役割を理解しておかなければ、ニュースレターではなくセールスレターになっているものもよく見かけます。
今回はニュースレターとは何か、どんな役割を持ち、送ることでどういった効果が見込まれるのかを解説していきます。
ニュースレターとは
ニュースレターとは、自社のファン形成、関係構築の手段の1つとしてメールや郵送で送るコミュニケーションツールです。
また、必ずしもオフラインの紙媒体であるとは限らず、自社ホームページやブログといったオンライン上でも公開する場合もあります。
ニュースレターを簡単に言い換えるとすれば会報誌ですね。
自社の顧客をはじめ自社の従業員、株主、取引先などニュースレターを送る相手は様々です。
ニュースレターとプレスリリースの違い
ニュースレターとよく間違えてしまう方も多いプレスリリースとの違いは何でしょう。
プレスリリースは、自社企業の新事業開始や新商品やサービス販売情報などメディアがニュース素材として取り扱いやすいようにまとめた公的文書を指します。
ニュースレターは、広報担当者が行う自社の情報発信活動という位置にあります。
プレスリリースを受け取ったメディア関係者が、更に自社のメディアで情報を開示するような流れです。
ニュースレターとDM(ダイレクトメール)の違い
ニュースレターはあくまでも信頼関係を構築するために送るものです。
一方、DM(ダイレクトメール)は送る相手に対して、主に自社の認知拡大や興味・関心のきっかけ、販売促進のために送るものです。
ニュースレターとDMの目的が異なりますので、ここを混同するとニュースレター本来の役割とずれてきますので、注意しましょう。
また、ニュースレターで絶対販促活動を行ってはいけないわけではなく、主に販促を目的とするのではないということです。
送る相手 | 目的 | |
ニュースレター |
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プレスリリース |
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DM |
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顧客に送る場合のニュースレターの目的
一言にニュースレターと言っても、送る相手は様々ですので、送る相手によって若干目的が異なります。
本記事ではあなたの顧客に対してニュースレターを送る場合と限定して解説します。
顧客に送る場合のニュースレターの目的は、ニュースレターを通じて、自社の企業理念や創立までの道のり、サービス開発秘話、従業員の異など、自社と顧客の接触時だけではまだ知られていないことを知ってもらうことで、自社全体(企業・商品・従業員)のファンになってもらうことです。
販促などのセールス色はあまりなく、あくまでも顧客との信頼関係を育むためのコミュニケーションツールとします。
ニュースレターを発行すれば売上が上がるというよりは、ニュースレターによって顧客との信頼関係がより良くなるため、企業や従業員に信頼を持った顧客が、自社の商品やサービスをすすんで購入してくれる可能性が上がるというとわかりやすいでしょうか。
ニュースレターに書く内容(構成)
ではニュースレターにいったいどんなことを書くのでしょうか?
ニュースレターを発行したことがない方にとっては少々不安かもしれませんね。
まずは基本的な書き方としては以下の4つがあります。
- トピックス・新着情報
- 自己開示(企業・店舗・スタッフ紹介)
- お客様の教育
- お客様の声
では順に説明していきます。
①トピックス・新着情報
トピックス、つまり企業や店の話題や出来事です。
- スタッフと〇〇セミナーに行ってきました
- 〇〇に一度社内で〇〇勉強会をしました
- 〇〇に掲載されました
- 〇〇テレビ、メディアに掲載されました
- 先日の〇〇イベントの様子
など自社の話題や出来事を顧客に知ってもらいます。
上記の例でいえば「スタッフと〇〇セミナーに行ってきました」との話題をニュースレターに出すことで、定期的にセミナーに参加している姿、情報を見せることで、サービス向上のための努力を知ってもらうことができます。
新着情報としての内容例として以下があります。
- 新事業〇〇を〇年〇日より開始します
- 〇〇の取り扱いを開始します。
- 新商品(サービス)〇〇を〇〇に販売開始します
「へぇ~そうなんだ」「初めて知った」というような目新しい内容を提示すると良いでしょう。
新商品、新サービスの内容を提示する場合、ニュースレターを受け取った方だけに最初にお知らせするもの良いと思います。
開発時の様子や開発途中段階で、まず先にと特別感を与えると、ニュースレターを読む価値が上がりますね。
商品やサービスの場合はセールスせず、あくまでもお知らせする、詳細を見せるくらいまでで止めておきましょう。
もし、商品、イベント、フェア情報などでセールスをする場合は、ニュースレターとは別紙、別枠で案内するなど工夫をして、ニュースレターの領域とは分けるのも1つの手段です。
②自己開示(企業・店舗・スタッフ紹介)
自己開示で企業や店舗、スタッフの内側を出し、それぞれを知ってもらい、ファン化を促進するために行います。
ただテキストを並べるだけでなく、画像やイラストなどを配置してわかりやすいレイアウトにしましょう。
企業の自己開示例
- 創業者の当時の設立秘話
- 設立当初の苦労話
- 創業者と現社長との物語
- 沿革ごとの物語
知られざる企業の裏側などホームページの会社概要に掲載していない情報をストーリーとしてニュースレターで紹介するのも良いですね。
企業や店舗自体に興味を持ってもらう、知ってもらうことを目的とします。
物語風に掲載して、顧客を引き込むことも大切です。
スタッフの自己開示例
- 新入社員や退職者などの紹介
- スタッフ毎のある日の出来事
- スタッフの一日の業務の流れ
- スタッフの趣味や特技
働いている従業員がどんな人なのか、どんな仕事をしているのか、プライベートではどんなことをしているのかなど自己開示し、スタッフを顧客に知ってもらい、スタッフ自身のファン化促進のために行います。
定期的に自己開示をすることで顧客との関係構築に役立ちます。
③お客様の教育
このセクションは非常に大切ですので、特に意識しておくことをお勧めします。
お客様の教育と聞くと、偉そうに聞こえるかもしれませんが、企業はお客様を教育して、より自社の色に染まってもらうことが重要です。
私たち企業側はその道のプロであり、経験、知識共に豊富ですが、顧客側はあくまでも素人です。
私たちが当たり前としてる事柄、知識も顧客は知らないことも多くあります。
経験や知識を情報として提示することで、顧客を育成してのちのファン化へと繋げます。
顧客教育例①商品やサービスの選び方
例えば、ある商品やサービスの選び方や見分け方を教えるのも、顧客にとっては良いコンテンツです。
私たちは業界の専門家であるため、良い商品やサービスの選び方や見分け方、ポイントなどを知っていますが、素人である顧客は私たちが思っている以上に知らないものです。
そこで、顧客が間違った買い物をしない、損をしないためにも、商品やサービスの専門家として教える必要があります。
専門家から教えられる知識で、どれだけの顧客が助かることでしょう。
顧客の教育により、顧客は役立つ情報を提供してくれる企業に強い寄せるきっかけとなります。
商品やサービスのこだわりや開発秘話
こだわりや開発秘話の提示も顧客との信頼関係の構築に役立ちます。
- 産地や提携企業を探す苦労
- やっとのことで商品やサービスを提供することができた話(開発秘話)
- 自社が特にこだわっているところ
など、ホームページでも掲載している内容もあると思いますが、再度ピックアップしたり、深堀りするのも良いでしょう。
その商品、サービスをより魅力的にするために行います。
ニュースレターのサイズ
ニュースレターのサイズではA4サイズやA3を二つ折りにしたり、B5サイズの物もあれば、予算をかけられるお店ではちょっとした雑誌かと思うくらいのサイズもありますが、これといった決まりはなく、伝えたい内容が伝わりやすく、お客様にとって見やすければサイズは何でも良いです。
無理なスペースにあれやこれやと情報を詰め込むよりはシンプルにゆとりを持った構成の方が、お客様には親切ですけどね・・・。
ニュースレターを作るための4つの手順
ニュースレターの制作から配信(送付)までの手順を紹介します。
順を追って解説していきますので、後からでも見れるようにブックマークでもしておいて下さい。
①ニュースレターの目的を決める
どのマーケティング施策を展開するにあたっても、まずは目的を決めることは大切です。
ただ作って送るだけの繰り返しでは、単なる作業、コストの無駄遣い、結果途中でやめることに繋がりますので非効率です。
多くは、ニュースレターを送ることで、送った顧客に対して信頼関係を深め、自社、商品、スタッフのファン化を促進するためでしょうか、これは企業や店舗によって様々です。
明確な目標を設定することで、ニュースレターの内容や送る相手も異なりますので、必ず設定しましょう。
また、ニュースレター配信全体の目的と各ニュースレターごとに小さな目的を決めるより良いです。
②ニュースレターを送る相手を決める
まさか、全顧客にニュースレターを送ろうとしていませんか?
これまでマーケティングジム、提携企業、クライアント様でもテストしてみましたが、全顧客にニュースレターを送るのは、コストの無駄遣いになりますので、やめてください。
ニュースレターを送るべき相手は、あなたの企業、店舗に貢献している上位の顧客です。
顧客ランクは企業や店舗によって様々ですが、より上位の顧客にのみ配信することで、ニュースレターの効果を高めます。
以下、サロンでの顧客ランク例ですが、参考までに目を通しておきましょう。
なお、リアルタイムなランクを採用し、ニュースレターを送る相手を決めることがポイントです。
③ニュースレターの内容の企画と計画
ニュースレターにどんな内容を掲載するか企画を立てます。
ニュースレターは定期的に配信することが大切ですので、毎回というよりは、年間といった中期での企画の立案、検討を行うことをお勧めします。
突発的に内容を変更することもあると思いますが、事前に企画を立てることで無駄がなく、よりスムーズになります。
一緒に年間の配信スケジュールや予算なども決めておきます。
④ニュースレターの配信媒体を決める
ニュースレターの配信方法はいくつかあります。
- 郵便物として顧客の住所に送付
- ニュースレターをデータ化(PDF)してメールで送付
- ホームページに限定ページとして公開など
現在行っているメインのマーケティングがオンライン(デジタル)であれば、オンラインで、オフライン(紙媒体)であればオフラインでと考える場合が多いでしょう。
しかし、あえてオフラインの紙媒体で限定した顧客にだけ送り、特別感を与えるのも1つの手段です。
⑤ニュースレターのデザイン、レイアウトを決める
目的、相手、配信媒体が決まったら、ニュースレターに掲載する内容を集めます。
事前に企画、計画を立てていると思いますので、内容に応じて担当するスタッフからネタを回収します。
集めたネタの密度や重要度、企業のブランディングからも検討し、ネタの精査を経てニュースレターのデザインとレイアウトを決めていきましょう。
デザインに自信がない方は、無料のテンプレートを配布しているサイトから参考にしたり、テンプレートを利用しても良いのではないでしょうか。
⑥ニュースレターをリリースし効果計測する
いよいよニュースレターのリリース(公開や配信、送付)を行います。
配信日時や配信数は累積データとして必ず控えておきましょう。
ニュースレターで何か販売するわけではありませんので、直接的な反応を計測するのは難しい場合もあります。
DMなどアナログなニュースレターの場合、深く計測することが困難ですが、配信した顧客に対してアンケートを取るなど可能な範囲で計測するようにしましょう。
メールでニュースレターを配信する場合、メールの開封率やリンク先のクリック数などでどれくらいニュースレターを閲覧したかの計測は可能です。
また、WEB上でニュースレター作成して公開する場合、そのページのPV数や、ヒートマップツールでどこまでしっかり読まれているかを計測することもできます。
もし、特典など何かしたキャンペーンを行う場合は、その反応率も必ず計測しましょう。
ニュースレターを採用したクライアントの事例
弊社マーケティングジムでご契約頂いているクライアントで、このニュースレターを採用した事例としては
- これまでDMしか出していなかった複数店舗経営の美容院
- 地域で知名度のある地場アパレル企業
- 顧客の継続購入期間を伸ばしたいマッサージサロン など
複数の業種、クライアント様で取り入れた結果、以下となります。
- 担当者だけでなく、他のスタッフとちょっとした会話をする顧客様が増えた
- 来店時にニュースレターについての話題が出るようになった
- 顧客様をニュースレターに登場させることで、そのお客様が特別感を味わえるようになった
- ニュースレターを始めてからは、顧客の離脱率が下降傾向にある
などが寄せられました。
ニュースレターの役割は信頼関係構築ツール
ニュースレターについてご理解できましたか?
おさらいとしてはセールスはせず、あなたの会社に興味を持ってもらう、好きになってもらう、信頼関係を築くことが目的です。
定期的にニュースレターをリリースする事でお客様にあなたの会社やあなた自身をもっと知ってもらいましょう。
これまで行ってきたマーケティングとこのニュースレターを組み合わせる事で、より効果的なマーケティングが見込めます
もっと顧客と密な関係を持ち、ファンとして応援してもらうためにもニュースレターを利用するのも1つの手段ですよ。