日頃様々な企業や組織からアンケートを依頼される機会があると思いますが、実際にあなたのビジネスでも取り入れている方はどれほどいるでしょうか。
今回は既存客、これからあなたのサービスを購入するかもしれない見込み客に役立てるために行うべきアンケートについて解説していきます。
- 現在のサービスや製品がいまいち売れない
- 集客はそこそこできているが定着率が悪い
- 見込み客の集客がうまくいかない
とお悩みの方は参考にしてください。
顧客に回答してもらったアンケートをもとに、以下に役立ちます。
アンケートの目的
アンケートの最大の目的は現状を把握し、現在提供しているサービスやシステム、展開しているマーケティング、集客、セールスの改善に役立てることです。
- 現段階の顧客満足度(CS)を理解して企業、ブランド全体の改善に役立てる
- サービスやシステムに対しての顧客の意見を把握し状況に応じてアップデートする
- 接客に対しての満足度や意見、不満を理解して改善に役立てる
- 競合他社との満足度の比較
- リピーター獲得率の向上 など
企業によって目的は様々ですが、主に品質のモニタリングとして行ったり、課題や問題の分析、検証のために行います。
アンケートの種類
アンケートの種類は大きく2つの種類に分けることができます。
- 定性調査(対象者の言動や行動、数値化できない感情などを集計して、分析、調査)
- 定量調査(数値化して統計学的に分析し、調査)
定性調査
定性調査とは一人ひとりから意見を集めるアンケート調査を指します。
数値では理解できない、より具体的な意見を集めることができるため、顧客を行動に繋げる「インサイト」を見つけることができるのが定性調査のメリットと言えます。
企業側が気づかなかった商品の強みや弱み、顧客が抱いている深層心理がわかるため、質の高いアンケート結果を得ることができます。
一人ひとりを対象にアンケートを実施するため、大人数に実施するには不向きで、時間や手間がかかることが定性調査のデメリットと言えます。
メリット、デメリット共にありますが、私たちマーケティングジムでは、特にまだ企業規模、売上規模が小さい企業様、個人事業主様には、この定性調査をお勧めしています。
顧客の中でも特に複数回にわたり商品を購入している方を対象に定性調査を行うことで、多くの「発見」を手に入れることが魅力です。
調査対象者の選定や調査フローなど、手間はかかりますが、顧客の潜在ニーズやインサイトを発見できる可能性を考えたら、定性調査を行うメリットは大きいと思います。
定性調査の方法
定性調査の調査方法(形式)は複数あり、求める質の高さや導入可能なコスト(時間、人員、お金)によって使い分けると良いでしょう。
ディスプインタビュー | 一対一で行う調査方法 |
グループインタビュー | 複数人(4名~8名ほど)のグループで座談会形式で行う調査方法 |
行動観察調査 | 購入時や生活時の行動を観察する調査方法 |
(ミステリーショッパー) | 対現場調査向きの覆面調査方法 |
定量調査
定量調査とは主に選択式のアンケートを用いた調査方法です。
身近なもので言えば、顧客満足度(CS)調査などによく取り入れられていますね。
- 評定尺度:例)非常に満足/やや満足/どちらとも言えない/やや不満/不満
- ネットプロモータースコア(NPS):例)ネットプロモータースコア(NPS)は10点満点の評価の内、9~10点の顧客から、0~6点の不評者の割合を差し引いてスコア化したもの
大人数の対象者へ実施するアンケートとして利用でき、数字として結果を残すことができるため、比較や検証、仮説の確認、市場の実態や傾向を把握することができる点がメリットと言えます。
定性調査の様に、深くまでは理解できないため、数値から読み解かなければいけない点、事前に決めたアンケート内容しか把握できない点がデメリットと言えます。
定量調査の方法
定量調査の調査方法も複数あり、定性調査と同様に導入可能なコストに応じて使い分けると良いでしょう。
WEB調査 | インターネット上で行う調査(メールやSNS、LINE公式アカウント、Google Form、その他WEBアンケートツールなど) |
電話調査 | オペレーターなどが対象者に直接電話で行う調査 |
郵送調査 | 対象者にアンケートを郵送し、返送してもらう調査 |
訪問面接/訪問留置調査 | 担当者が対象差Yへ訪問し、面接/訪問簿、後日回収する調査 |
WEB調査のようなオンラインの調査方法は効率的かつローコストで行うことができ、以下オフラインの調査方法はオンラインよりも非効率且つコストがかかります。
アンケートに使われる2つの形式
アンケートには主に以下の2つの形式を用います。
選択形式アンケート
各質問項目に対して複数の回答を事前に用意し、それらから選択して回答するアンケートの形式です。
回答者は、回答を選択していくだけなので、負担を軽減することができます。
また、回答もスムーズなため、ある程度の質問数を用意しても回答してもらえるため、多くのデータを獲得することも可能です。
定量調査には、この選択形式アンケートの方が適しています。
自由回答形式アンケート
各項目に対して、自由に回答するアンケートの形式です。
自由に回答できるため、回答内容は回答者に託されます。
質問の質や仕方が悪いと、意図しない回答を得たり、適当に回答されるケースも少なくはありません。
ですが、アンケートの目的、ターゲットを明確にし、回答者の負担にならない程度の質問数、内容にすれば、質の高い回答を得ることも可能です。
アンケート作成フロー(手順)
アンケートに対する知識をある程度得て頂いたところで、実際にアンケートを作る手順を解説していきます。
①アンケートの目的を設定する
まずはアンケートを何のために行うのか、目的を明確にしていきます。
目的が明確でないと、質問の質(質問する内容のカテゴリーがバラバラ、回答者が理解しにくい、捉え間違えしやすいなど)が落ちるほか、得られる回答も意図しないものが集まるだけで、アンケート調査が単なる手間になるのが結果として見えています。
アンケートの目的を明確にすることで、おのずとアンケートで集めたい情報が定まります。
②アンケートのゴールを設定する
スタートがあるのであれば、ゴールがあるのも当然です。
アンケートの目的を明確にし、何をもってこのアンケートがゴールとなるかを設定しておくことが大切です。
ゴールを達成しなければ、達成するために、アンケートの内容や形式、方法を再検討しなければいけません。
③アンケートのターゲット(対象者)を決める
「誰に」向けたアンケートなのかを明確にする作業です。
一度でもアンケートを実施したことがある方はご存じのように、ターゲットが異なれば、得られる回答の質も異なります。
また、マーケティングジムのコンサルティング時や、このブログ上でも何度もお伝えしていますが、ターゲットが明確でない施策は、必ずと言ってよいほど失敗します。
誰に向けてが不明確であれば、伝えるメッセージも狙う市場も不明確になるのは当然です。
④アンケートの種類、方法、形式を決める
目的とゴールが決まったら、アンケートの種類、方法、形式をどれにするかを決めていきます。
アンケートの目的やゴールに応じて、ある程度絞ることができますが、種類、方法、形式の組み合わせに応じて獲得できる回答内容が異なりますので、こうして事前に組み合わせを考慮し、決定しておきましょう。
⑤質問内容と順番を決める
次に、どんな質問をするのかとその順番を決めます。
アンケートの文章は、得られる結果を左右するほど重要です。アンケートの質そのものに影響しますので、事前にしっかりと決めておくことが大切です。
また、質問内容によっては、続けた順番の方がスムーズだと判断できるものもあるかと思います。
前後の質問内容に応じて、回答者がスムーズに回答できるように順番を決めるのも、後の質の高い回答を集めるためにも大切です。
以前、数名の方から「どんな質問をしたらよいかわからない」とマーケティングジムに問い合わせが来たことがあります。
この質問をしている時点で、まず目的を明確にできていない証拠です。
⑥アンケートのテスト実施と改善
ここまで準備が整った段階で、一度テストを行い、現時点での不具合や改善点を見つけます。
社内でマーケティングに関わっていない方やテストモニターに対してアンケートを配布し、テストを実施しましょう。
テスト後、改善すべき箇所があれば、改善して整えていきます。
⑦アンケートの実施と回答の集計
テストと改善が終わったら、いよいよ本番です。これまでに準備したアンケートをリリースします。
その後、回答を集計し、フロー②で定めたゴールと比較しましょう。
今回のアンケートを通じて、あなたが描いていたゴール(欲しかった情報)に近づくことができたのでしょうか?
また、アンケートを実施して、思わぬところから大きなビジネスヒントになる「お宝」を見つけることもあります。
これがアンケートの魅力でもあります。
⑧集計データを元に分析する
集計が終わったら、データを元に分析を行います。
まずは全体的に単純集計を行い、その後クロス集計でカテゴリーやジャンル、属性ごとに分析を細分化していくと良いでしょう。
どうしても特に知りたかったデータがあるとそこに注目しがちですが、そうすることで全体像が薄くなり、偏った分析を招くことが多くなりますのでご注意ください。
⑨分析を元に結果を出す
最後に今回のアンケートの集計データ、分析を元に結果を出します。
アンケートの目的やターゲット、内容によって、マーケティングや商品、セールス、ブランディングなど様々なデータが得られたと思います。
分析し、得られた結果をこれからに活かす、ここまでがアンケートの役割です。
⑩お疲れさまでしたこれでおしまい・・・・ではない
アンケートの基本設定から実施、分析、結果出しと一連のフローは終了ですが、これで満足して終わりではありません。
今回のアンケートを元に、次回のアンケートをより良くするために改善を行いましょう。
これを繰り返すことで、次回、更に次のアンケート全体のクオリティを高くしていきます。
「知る」「発見」「新たな道」を見つけることができるこれがアンケートの魅力
アンケートをきっかけに、あなたや企業が顧客やアンケート対象者のことを「知る」ことができたと思います。
また、「発見」もあり、アンケートを実施する前と比べて、これから注力すべき事項やチャレンジすべき事項、改善すべき事項など「新たな道」が開けたのではないでしょうか。
たかがアンケートと軽視することなかれ。アンケート、実はビジネスとしてのお宝の地図に変わるかもしれませんよ。