規模問わず全国的どのエリアでも競合他社がひしめく飲食業界。
新型コロナウイルスの影響を受けて、2020年前後には売上高、店舗数共に大きく減少しました。
コロナ禍に耐え抜いた2022年からは飲食業界全体的に回復している現状です。
これは、新型コロナウイルス感染症が流行する少し前、2019年とあるカフェを経営するクライアント様の事例です。
カフェクライアントF様の当時の状況
2018年5月にオープンした当時はオープン景気もあり、良いスタートだったのとことですが、その半年後からは好調な月もなく、伸び悩んでいる状況です。
現在ではカフェの売りがイマイチ確立できず、中途半端になっていて困っているとのことです。
その他、コンサルティング契約を結ぶ前、当時行っていたプロモーションは以下です。
- 大手グルメ系ポータルサイトに掲載
- Instagram、facebookページの運用
- LINE公式アカウントの運用(ほぼスタンプカード機能のみ)
- ブログの運用(アメブロ)
どのプロモーションも突き抜けているものはなく、ただそれとなく運用している状態でした。
カフェに来店して率直に感じたこと
マーケティングジムの所在地と同じ福岡市内だったので、zoomでヒアリングをした後、日を改めてカフェに伺うことにしました。
伺う1時間前ほどに到着し、まずは周辺の環境がどうなのか散歩しながらリサーチします。
そして故意的に客が多いであろう時間帯に伺い、実際の営業の様子を観察し、気になったことを手帳に書き出します。
- オープン当初は良かったであろう外観
- 店のキャパシティの割に狭く感じる
- メニューが豊富、、、過ぎる
- メニュー表が見にくい
- コンセプトが見えにくく、特徴がない
①オープン当初は良かったであろうカフェの外観
表に出ていた小さな看板、ホワイト、グレーの2色を使った外壁や扉でシンプルにそぎ落としたミニマルデザインの外観のカフェです。
市が管理している?街路樹があるため、外から中の様子は近くに行かないとわからない状態です。
小さな庭のようなスペースもあり、時期によってはテラス席も良さそうですが・・・・すでに物置化、残念です。
置いてある観葉植物も、元気がなく、枯れているものも隅に置いてあるまま。
オープン当初は良かったであろうカフェの外観も今ではすっかりやる気がないように感じます。
周辺には大きな駅の他、様々な店舗があり、このカフェの立地自体は正直かなり良いと思います。リサーチ時の時間帯は人通りも多く、ふらっと新規客も来店しそうですが、この外観で来店をやめる方も多いでしょう。
②店のキャパシティの割に狭く感じる
僕が入店してすぐに感じたことです。
元々そこまで広くない坪数ですが、実際とにかく狭く感じました。
入り口すぐ横にあるカウンター席の足元、その反対側のカウンターの隅は、物置スペースのように使っており、なんだか残念です。
また、キャパシティに対してテーブルの配置が悪く、場所によっては通路が狭いところもあり、導線の悪さも気になります。
③メニューが多すぎる
豊富なメニューが売りとのことでしたが、豊富過ぎてかえってデメリットにならないのか心配です。
あれもこれもオススメという様な欲張った打ち出しは客を迷わせかえって逆効果になるケースもあります。
6か月間の売上の詳細を確認したところ、結局はわかりやすい定番メニューが比率を占めていました。
豊富さをウリにすること自体が悪いとは言いませんが、その中でもいくつか核となるメニューを打ち出した方が、お客様側が選びやすいだけでなく、オーダーのコントロールもしやすいメリットもあります。
④メニュー表が見にくい
メニューが多過ぎることに加え、メニュー表のレイアウトが悪く、とにかく見にくさを感じました。
同じフォント、ポイントで何ページにもわたりズラズラとメニューが書いてある状態で、結局のところ僕自身も何を頼んだらよいのかわからなくなり、最初に書いてあったブレンドコーヒーを頼みました。
このクライアント様の要望は「集客を改善したい」とのことですが、集客を改善し新規客を増やすことができたとしても、リピート客が増えるとは思えません。
※実際のところ客数も減少している状況です。
⑤コンセプトがわかりにくく、特徴がない
クライアント様のモチベーションの下降と、試行錯誤の末、迷子状態となってしまったカフェのコンセプトにより、一部はゴチャつき、ある一部は雑多と「よくわからない」が正直な感想です。
それらの影響は先述した僕の気になるところに反映され、「特徴がないカフェ」が完成しています。
この状況もリピート客が少ない原因に繋がっているでしょう。
再度ヒアリングと改善計画
最初のzoomでのヒアリング時に言われていた内容よりも、実際の現状は非常によろしくなく、どうやらかなりやりがいのあるカフェの様です・・・。
あらためて、この方が描いている「こうしたい」を2度目のヒアリングで徹底的に聞き出し、脳内のイメージを言語化しながら改善の計画を立てていきます。
- カフェの新たなコンセプトの設定
- ブランディングの設定
- ターゲティング、ポジショニングの再設定
- 競合の再設定と分析、顧客の分析、自社(このカフェ)の分析
上記を早期に再設定し、まずは内側から改善していきます。
設定した新たなコンセプト、ブランディングに沿って、展開するメニューの見直しと改善、メニュー表のデザイン、売りとするメニューの開発から始めます。
カフェ自体営業しているため、できるものから導入していき、徐々に変わっていく流れです。
ブランディングの設定を機に、店名のロゴ、フォントの変更、幸いにも看板は外壁についておらず、掛けるタイプのものだったため、看板もすぐに変えました。
並行して分析した内容をもとに、マーケティング戦略の立案、現プロモーション戦略はほぼ一からやり直します。
また、Instagramを普段使っているスタッフに、Instagramマーケティングを担当してもらい、アカウント設計からコンテンツのプランニング、スケジューリングを行います。
幸いなことに、このカフェのエリアでは、Googleビジネスプロフィールが手薄、ラッキーでした。
早速作っただけの状態だったアカウントを精査し、ローカルSEO、MEO対策を行い、エリア名+カフェのキーワードで、いとも簡単に検索上位をキープ。その後、カフェ側から提案していませんが、口コミも少しづつではありますが、増えてきています。
その他、日記レベルのブログは閉じ、アカウント設計、ブランディングにそぐわないInstagramとFacebookページの過去の投稿は削除。
こうして、これまでに付いてしまったこのカフェのイメージを払拭し、リニューアルオープンしたかのように、様々な箇所を改善します。
僕が好き勝手何もかも変えてしまっているのではありません(笑)
改善に利用したフレームワーク
翌年からのコロナ過を乗り越えてからの躍進
新規客も少しづつ増え、地元のメディア掲載も手伝って、「さあこれからもっと面白くなる」と思った矢先に誰もが予想していなかった新型コロナウイルス。
助成金や補助金などを利用し、何とか乗り越えた後、このカフェの本格的な躍進が始まります。
売りとなる新たなメニューを取り入れ、それがInstagram内での評価が高まり、また新たに認知される良いサイクルが生まれます。
コンサルティングを終了する頃には、当初迷子状態のカフェとは思えないほどの変貌を遂げました。
最後までこの記事を読んで頂いた方はもうお気づきのように、このカフェの問題点は集客方法が確立できていないことよりも、カフェの内部そのものが重要な問題でした。
「もっと多くの新規客を集客したい」という気持ちは十分理解できますが、今回のように、重要な問題はもっと他にあるかもしれませんよ。