とある地方の小さな居酒屋を営むクライアントさんの話。
お問い合わせフォームより、数回メールがあった方でしたので少し気になっていたところです。
今回は田舎にある小さな居酒屋で売上を改善するために行った施策の一部を解説していきます。それでは早速本題に入りましょう。
田舎の小さな居酒屋さん相談内容
お問い合わせ当時坪月商約10万円。従業員はオーナーと+1名(固定給)非常に宜しくない。
客単価を上げたい
当時の客単価は約2850円
リピート客を増やしたい
当時、顧客管理は全くしておらず、記憶と感覚のみ。
この2点の相談内容を元に、それぞれの数字を上げるべく施策を練っていきます。
※FL、FRL率、回転率などその他もろもろの着目点に関しては今記事では伏せさせていただきます。
田舎の小さな居酒屋で客単価を上げる為に行った事
まずは、月間のメニュー別オーダー数を把握する事から始めました。また、実際メニュー表にはズラリとメニューが並んでおり正直何を頼んだらよいか迷うというよりわかりませんでした。
結果からして、月間で大きく縦に売れているメニューがない状態で、この居酒屋と言えば「このメニュー」という様な看板メニューが見当たりません。
メニュー表の見直し
看板メニュー(必ずしも新しく開発しなくても良い)の打ち出し、メニュー表デザインのリニューアルを行いました。
以前紹介した記事の様に、メニュー表の改善と並行し、実際ほとんど出ていないメニューを無くしていきます。
メニューを無くす際の注意点として、時期的に出ないメニューなのか、以前より売れてこのオーダー数に至ったのか、その逆かなどはしっかり把握したうえで考慮していきましょう。
また、今回はもう一品頼んでもらう為に「〆のメニュー」を新たに追加しました。
ホールの接客の見直し
特にこのような個人経営の居酒屋の多いのですが、長年営業しているとやるべき当たり前の事を行っていない場合が多く見られます。
- お客さんに絶対「すいません」と言わせない広い視野
- オススメメニューの提案とそのセールス力
- ドリンクの追加オーダーの提案
この3つはすぐにでも改善できる点です。
1客に、1組にもう1メニュー、もう1杯オーダーを増やすことが出来るなら、それを月間として行えば全く意識しなかった時よりも必ず売上が上がるのは言うまでもありません。
繰り返し行う事で、セールストークやタイミングなど様々なパターンが生まれてきますので、それに応じてのセールスも改善できます。
>>え?そうでしたっけ?居酒屋のオーダー数が増えた1枚の紙切れ
小さな居酒屋でリピート客を増やす為に行った事
当時の売り上げ状況からして大きな予算はない為、もちろん出来るだけお金は使わない方向で行います。
また、1日の客数も決して多くない為成果が出るには時間がかかりますが、リピートに関してはどの店でもある程度の時間はかかるのは当然です。
小さな居酒屋のリピート対策クーポン
ミーティングの結果まずはクーポンを作成し、テストしてみる事にしました。これに限らず何か新しく施策を始める時、すぐに本採用するのではなく、テストし、成果が出なかったら止めるのではなく「改良する」ことをクセ付けてください。
クーポンアイディア①
次回来店ドリンク1杯無料+来店グループ人数×1000円オフ ※同月なら1200円オフ(3名以上)
(有効期限:1ヵ月)
クーポンアイディア②
次回来店ご本人様飲食代無料(3名以上)
(有効期限:1ヵ月)
クーポンアイディア③
次回来店常時ドリンク一律400円
(有効期限:1ヵ月)
言うまでもありませんが単価を上げる施策も同時にテストしている為、集計時はクーポン割引適用時の売上と適用後の売上の比較もお忘れなく。
また、クーポンの目的はリピートしてもらう為のきっかけづくりのツールです。状況によって様々ですが、一定期間1種類のクーポンでテストするのか、時間短縮の為並行して行うかの判断も必要です。
>>売上不振だった居酒屋の原因と見勝つのはどっち? 飲食店のクーポンアイデア対決と成功事例直した3つのポイント
小さな居酒屋のイベント集客
当時、月間のメニュー別オーダー数を把握する際に気になった点が1つありました。
ヒアリングの際にクライアントさん、従業員双方にその理由を聞いてみましたが、はっきりとした理由は不明。決して種類が多い訳ではないにも関わらず「日本酒」のオーダー数の割合が高い事。これに着目し、テストイベントを行いました。
あまり知られていないような銘柄を集めた日本酒イベント
ミーティングの結果、有名銘柄はあえて1種類しか置かず、他はあまり知られていないような銘柄を集め、期間中日本酒とそれに合うオススメメニューを打ち出したイベントを開催。
通常営業時、カウンター前には何も置いていませんが、期間中に日本酒と銘柄、特徴を書いた小さなポップをディスプレイ。また、テーブル席には打ち出しメニューの横にA4POPを貼っています。
イベント集客方法
イベント集客方法はハガキサイズのモノクロのビラを来店客に手渡し、店内の打ち出しメニューの横にA4サイズのPOP、店前に設置しているボードの上にラミネート加工したA5サイズのポップ(A4サイズの半分を両面)を置いて知らせたのみ。クライアントさんの店はSNSを一切やっていないのでアナログ告知だけとしました。
イベントの状況と結果
スケジュール上、私は参加はできませんでしたが、イベントを木、金、土曜日に開催。常連客、リピート客、たまたま店頭のポップを目にして来店した新規客もいて通常時よりも適度に賑わったそうです。(先週の通常営業時との売上比較129.7%)
居酒屋の集客イベントが成功しない原因
このクライアントさんのイベントは特別珍しいイベント内容ではない且つ、アナログな告知にも関わらず成功したのでしょう。
それは案外シンプルな事です。
- 期間前に来店客に必ず告知と通行人の目にも留まる様にボードでの告知(告知の徹底)
- 少しでも魅力的に伝わるようなセールストークの徹底
- 開催時の店内の打ち出し(打ち出しの徹底)
逆に居酒屋の集客イベントが成功しない原因として、これが徹底されていないケースが非常に多い。
行う本人達は、イベントの趣旨や魅力は理解していても、お客さんはあなた達が思ってる以上に魅力が伝わっていません。また、せっかく企画したイベントも全スタッフが成功させようという意気込みの温度差が有るほど、成功しないケースが多いので充分意識させて下さい。
今回の施策の結果
結果からして、クライアントさんが大変満足する売上にはまだまだ達していませんが、当時の状況からはきっちり右肩上がりで実績を少しずつ伸ばしている状況です。(継続中)
大切なのは現状に満足していないにも関わらず、だらだらとその状況を繰り返すのではなく、「変わろうとする強い意志を持続する事」。人は何か変わろうと思ったと同時に現状と変わる恐怖も合せて感じます。ですが、一歩先に進まなければ、現状維持どころか、下降するのは言うまでもありません。
今回の記事を機にあらためて言わせてもらうとマーケティングジムの方針として、お問い合わせがあったからといってこちらから営業を掛ける事は一切しません。
ザクっと切るような言い方ではありますが、本人が「何としても売上を本気で上げたい」という強い意志がなければ、マーケティングジムとの温度差が生じてしまい、必ずと言ってよい程残念な結果しか見えてこないからです。ですが、逆にその強い意志が見られれば見られるほど、何とか手助けしたいと思ってしまいます。
本気でなければお問い合わせすらしないで下さい。メールの返信の時間すらもったいなく感じてしまうし、同じ時間があるならその時間を全力でクライアントさんに費やしたい。もし本気であれば何度でもお問い合わせください。